なぜ今「SaaSセキュリティポスチャー管理(SSPM)」が必要なのか

 2025.07.18  株式会社テリロジー 技術統括部

SaaSの利用が急速に拡大する一方で、そのセキュリティリスクへの対策を考えたことはありますでしょうか。

従来のセキュリティ対策は、ネットワークやエンドポイント、クラウドインフラに焦点を当てたもので、SaaSの領域まではカバーしきれていません。ここにこそ、重大なセキュリティホールが存在しています。

この課題に対応するために登場したのが「SaaS Security Posture Management(SSPM)」です。

SaaS利用拡大の裏で起こっていること


現在、企業が使用するSaaSアプリは平均275種類以上。中にはIT部門の承認を経ていない「シャドーSaaS」も多く含まれています。社員一人ひとりが自由にSaaSアプリケーションを導入・接続できるため、企業のIT部門が全体像を把握できない状態が常態化しています。

このように日々変化が伴うSaaS環境へ、従来型のセキュリティ管理で対応するのは困難です。SSPMは、こうした現代的な課題に対して必要不可欠なソリューションとなっています。

SSPMとは? そして何ができるのか


SSPM(SaaS Security Posture Management)は、企業内で利用されるSaaSアプリケーションを「可視化」「評価」「是正」するためのソリューションです。
CSPM(クラウドセキュリティ体制管理)との違いは、CSPMがIaaS/PaaS環境(仮想サーバーなど)にフォーカスするのに対し、SPMはSaaS特有の課題に対応する点です。

具体的には以下のような機能を持ちます:

  • シャドーSaaSの検出
  • SaaSアプリのリスク評価
  • 設定ミスのモニタリングと修正支援
  • アクセス権限やOAuthトークンの管理
  • リアルタイムでのアラートと自動対処

SSPMが明らかにする「見えないリスク」


SSPMは、以下のような見落とされがちなリスクを検出・対処します:

1.    設定ミス(Misconfigurations)
 Google WorkspaceやMicrosoft 365等にて、MFA未設定や公開リンク設定などの誤設定が頻繁に見られます。これらを継続的に監視し、アラートを出します。
2.    過剰な権限
 OAuth連携アプリが広範なデータアクセスを要求し、そのまま放置されるケースが多発しています。SSPMは不要な管理者権限を特定し、最小権限の原則を実践可能にします。
3.    シャドーSaaSと未審査アプリ
 Chrome拡張やAIツールなど、個人レベルで接続されるSaaSも対象に含め、可視化と制御を実現します。
4.    リスクの高い外部連携
 API連携・OAuthトークン経由で他アプリと接続することで、攻撃経路が拡大します。SSPMは連携の全体像をマッピングし、弱点を発見します。
5.    コンプライアンス違反
 GDPR、SOC2、HIPAAなどに準拠するためには、SaaS利用状況の追跡と制御が必要です。SSPMは監査対応のための記録・証跡管理も支援します。

なぜ「今」SSPMが不可欠なのか

  •  SaaSの利用は不可逆的に増加しており、従来型のファイアウォールや境界型セキュリティでは防ぎきれません。
  • ユーザーによる設定ミスや権限付与ミスは避けられず、継続的な監視と自動対応が求められます。
  •  攻撃者がSaaSを狙い、OAuthの悪用や設定ミスを突いた攻撃が現実のものになっています。
  • 法規制も強化され、定期監査ではなく継続的なモニタリングが求められるようになっています。総務省から2024年4月に出された「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」にもSSPMがSaaSの監査に有効なツールとして紹介されています。

優れたSSPMとは?(例:Wing Securityの機能)


実際のSSPMソリューションの中でも、Wing Securityのという製品は、以下の特徴で差別化されています:

  • すべてを見える化:エージェント不要のAPI連携とメール検出で、社内の全SaaSアプリ・連携・拡張機能を網羅的に把握
  • ノイズを排除:MITRE ATT&CKやCWSSに基づいたリスク評価で、本当に重要な問題に絞って組織のSaaSにおける設定ミスを検出
  • 自動修復機能:危険なOAuthトークンの無効化や権限除去、ポリシー強制などもワンクリックで対応可能。

まとめ:SaaSのセキュリティはSSPMから


SaaSは業務の中心であり、同時にリスクの温床でもあります。見えていないものは守れません。
SaaS Security Posture Managementは、今後のセキュリティ運用の基盤となります。手遅れになる前に、可視化・制御・自動対応の体制を整えることが、企業にとって最も効果的なサイバーリスク対策です。

SSPM(SaaS Security Posture Management)製品についての詳しい情報は以下をクリックしてください。

WingSecurity の詳しい製品情報はこちらから!!

 


RECENT POST「技術コラム」の最新記事


技術コラム

SIEMが必要とされる4つの要因を徹底解説! ~SumoLogic CSEライセンスで現場課題を解決~

技術コラム

Sumo Logic CSEのGraph Viewとは?

技術コラム

SumoLogicの新機能 クエリ生成AI SumoLogic Mo Copilotを使ってみた

技術コラム

Sumo Logic CSEのEntity Timelineとは?特徴・メリット・ユースケースを解説

なぜ今「SaaSセキュリティポスチャー管理(SSPM)」が必要なのか

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング

ブログ無料購読のご案内