近年、多くの企業がSIEM(Security Information and Event Management)の導入を進めています。SIEMは、ログ管理やセキュリティ監視を一元化し、サイバー攻撃や内部不正の検知・対応を支援する重要なソリューションです。
では、なぜ今SIEMの必要性が高まっているのでしょうか?
本記事では、SIEMが求められる背景を外的要因(外部環境の変化)と内的要因(企業のIT環境の変化)に分けて詳しく解説します!
1-1. 外的要因:サイバー攻撃の多様化と規制強化
① 多様化するサイバー攻撃への対応
サイバー攻撃は年々高度化・巧妙化しており、従来のファイアウォールやアンチウイルスだけでは防ぎきれなくなっています。
・ゼロデイ攻撃の増加:未知の脆弱性を狙う攻撃が頻発。
・標的型攻撃の巧妙化:フィッシングメールやソーシャルエンジニアリングを活用。
・ランサムウェアの脅威:企業のデータを暗号化し、身代金を要求。
・サプライチェーン攻撃:取引先やクラウドサービスを経由した攻撃が急増。
これらの脅威に対応するには、単一のセキュリティ製品では不十分です。SIEMを導入し、複数のログを横断的に分析することで、異常な挙動の早期発見と迅速な対応が可能になります。
② 発行されるガイドラインへの対応
セキュリティ対策の強化は企業の自主的な取り組みだけでなく、法規制や業界ガイドラインによって求められるようになっています。
・NISTサイバーセキュリティフレームワーク:米国の標準的なセキュリティ指針
・PCI DSS(クレジットカード業界のセキュリティ基準):ログ監視と保管が必須要件
・日本国内のガイドライン:
・経済産業省「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」
・金融業界向け「FISC安全対策基準」
SIEMを活用すれば、ログの長期保存やダッシュボードによる可視化が可能となり、コンプライアンス対応の負担を大幅に軽減できます。
1-2. 内的要因:企業のIT環境の変化
③ 働き方改革によるユーザー環境の変化
リモートワークやハイブリッドワークが一般化し、従来の境界防御型セキュリティでは十分に対策できなくなっています。
・VPN経由のアクセス増加:社外からのアクセスが増え、認証の強化が必要
・ゼロトラストモデルの導入:あらゆるアクセスの検証が必要
・BYOD(私用端末の利用):管理外のデバイスからのアクセスが増加
これにより、「誰が」「どこから」「何に」アクセスしたのかを詳細に記録し、異常な行動を検知する仕組みが必要になりました。SIEMで複数製品のログを組み合わせて横断的に検知する仕組みを作ることにより、不審なログインやデバイスの使用のリアルタイム検知が実現可能となります。
④ クラウドシフトによるシステムの変化
企業のIT環境はオンプレミス中心から、クラウドやハイブリッド環境へと急速にシフトしています。
・AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドサービス利用拡大
・クラウドサービス間のデータ連携の増加
これにより、従来のSIEMではカバーしきれないクラウド特有のログ管理が求められるようになりました。
弊社取扱製品であるSumo Logicでは、クラウド環境に特化したログ分析が可能であり、API連携によるクラウドネイティブな監視をシームレスに実現することが可能です。
1-3.まとめ
前述を踏まえると、SIEMの必要性が高まっている背景には以下の4つの要因があります。
詳細 |
SIEM採用メリット |
|
外的要因① |
サイバー攻撃の高度化 |
相関分析、リアルタイム検知 |
外的要因② |
コンプライアンス強化 |
ログの長期保存 |
内的要因① |
リモートワーク普及 |
ゼロトラスト対応、ユーザー行動分析 |
内的要因② |
クラウドシフト |
クラウドログの統合管理 |
これらの課題に対応するために、企業はSIEMの導入を検討する必要があります。
ログを一元管理し、異常な挙動を検知・分析できるSIEMは、巧妙化するサイバー攻撃への対抗手段として多くの企業に導入されています。
しかし、SIEMを導入したからといってすべてが解決するわけではありません。多くの企業が直面する次なる課題があります。それはアラート過多によるリソースのひっ迫です。
2-1.各企業におけるSIEM運用の課題
SIEMは日々膨大なログを収集・分析し、疑わしいイベントをアラートとして通知します。
ところが、
- 1日に数百〜数千件のアラートが発生
- 重要な脅威が大量の誤検知に埋もれる
- セキュリティ担当者が本当に対応すべきアラートを見落とす
このような状況が続くと、SIEMは単なる"アラート生成装置"になってしまい、日々対応に追われる形になってしまいます。また、大量のアラートを分析する必要がある為、本来対処するべきアラートへの対処が遅れてしまいます。
2-2.トリアージの重要性について
この課題を解決する鍵となるのがアラートのトリアージ(Triage)です。もともと医療現場で用いられる概念で、患者の重症度に応じて治療の優先順位をつけるプロセスを意味します。
セキュリティの世界でも同様に、
- 重大度
- 影響範囲
- 検知されたパターンの信頼性
といった観点からアラートに優先順位をつけ、限られたリソースを本当に重要な脅威に集中させるための手法がトリアージです。
2-3.アラート自動分析がもたらす効率化
Sumo Logicでは、このトリアージを自動化する機能を備えています。
それが、Sumo Logic CSE(Cloud SIEM Enterprise)ライセンスです。
CSEライセンスでは、対処するべきインシデントを導き出すために複数の検知ルールでアラートを検出します。
①UEBA(User and Entity Behavior Analytics)ユーザーや端末の通常時における振る舞いをベースラインとして学習し、普段と異なる行動を自動で検出します。
- 例:普段ログインしない深夜帯に管理者権限でアクセス
- 例:通常使用しないシステムへの異常なトラフィック
② 相関ルール
複数のイベントを関連付けて分析し、単発では見えない脅威を検出します。
- 例:失敗したログイン→成功→ファイルダウンロード
③機械学習を活用した異常検知
蓄積された過去のイベントデータを学習し、未知の攻撃手法にも対処します。
これらの技術によって、対応優先度の高いアラートのみを人に通知し、それ以外は自動処理・保留・スコアリングできるようになります。
2-4.Sumo Logicの自動分析機能
クラウドネイティブなSIEMとして知られるSumo Logicは、こうした自動分析・トリアージ機能を積極的に取り入れています。
- リアルタイムに異常検知
- 統合されたダッシュボードでアラートの優先度を視覚的に把握
- SOARとの連携による自動対応(例:特定条件を満たしたら自動でIPをブロック)
Sumo Logicは、クラウド特有の柔軟性を活かしながら、アラート運用の効率化と精度向上を実現できます!
2-5.まとめ
SIEMは導入して終わりではなく、いかに運用できるかが重要です。
その中でも、自動分析とアラートのトリアージは、限られたリソースで最大限の効果を上げるための重要な取り組みになります。
Sumo Logicのように、自動分析とSOAR連携を備えたSIEMを導入/活用すれば、アラート疲れを防ぎながら、迅速かつ確実なインシデント対応が実現できます。
トライアルおよび検証も当社からご支援させていただければと思いますので、
是非ご検討ください!
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