綱渡りの攻防:現代セキュリティ市場におけるSumo LogicとSplunkの対決

 2025.12.19  M・Y

こんにちは、技術本部のMYです。

今回はSumo Logic社が公開している、Sumo LogicSplunkの比較に関する記事を日本語化しました。

原文はこちらをご参照ください。

 

サイバーセキュリティの最前線に立ち続けることは、まるで綱渡りをしながら一輪車に乗り、エンジン付きのチェーンソーでジャグリングするようなものです。それは危険で騒々しく、とても気の弱い人には務まりません。幸いなことに、SIEM(security information and event management)ツールは命綱の役割を果たしてくれます。足元を安定させ安全を確保し、データ侵害や規制による罰金、そして眠れない夜といった深淵に真っ逆さまに転落しないよう、崖っぷちから引き離してくれるのです。

この手に汗握るサーカスにおける二大花形役者が、Sumo Logic Cloud SIEMSplunk Enterprise Securityです。Splunkは詳細な分析と柔軟な検索機能で知られていますが、詳しく見ていくと、プレッシャーのかかる状況下で単に生き残るだけでなく、むしろ成功を収めるために必要な機敏性、自動化、リアルタイムの状況把握といった能力は、Sumo Logicの方が備えています。

Sumo Logic SIEM vs. Splunk Enterprise Security

機能

Splunk Enterprise Security

Sumo Logic Cloud SIEM

First-Seen ルール

手動での設定、複雑なメンテナンスが必要

標準機能、自動化された検知

ルールのチューニングと更新

手動での複製、断片的な更新

統合されたチューニングと継続的な更新

リアルタイムストリーミング

スケジュール検索、遅延リスクあり

真のリアルタイムストリーミング

シグナルの相関分析

基本的なシグナルレベルの相関分析

高度で自動化されたエンティティの相関分析

オートメーションとプレイブック

追加購入が必要(Splunk Phantom

自動化と情報付与(エンリッチメント)機能を内蔵

検索パフォーマンス

使用量の急増時にパフォーマンスの問題あり

一貫した高性能なスケーリング

リアルタイムアラート

スケジュール化された、遅延のあるアラート

即時のリアルタイムアラート

異常および重要なログイベントの特定

手動での複雑なクエリが必要

LogReduceやLog Compareなど、直感的なツールを内蔵

Appカタログ

広範だが、主にコミュニティがサポート

公式にサポートされた、検証済みのアプリ

舞台の裏側:両社の違いが重要である理由

First-seenルール

脅威の深刻化を防ぐ上で、早期の異常検知は極めて重要です。これまでに見られなかった新たな脅威を迅速に特定できれば、セキュリティチームは、深刻な被害が発生する前に先手を打って問題に対処することができます。

  • Splunk Enterprise Securityには、「First-Seen(初回検知)」機能(これまで記録にないIPアドレスやユーザーなどを初めて検知する仕組み)が標準搭載されていません。そのためアナリストは、検知ルールを手動で構築し、複数のルックアップテーブルを管理した上で、スケジュール検索に頼る必要があります。
  • 一方、Sumo Logic Cloud SIEMはこれらの機能を標準で搭載しています。煩雑な手作業を介さずに、新たなエンティティや振る舞いに対して自動でアラートを発することで、早期の脅威検知を劇的に効率化します。

検知ルールのチューニングと更新

検知ルールを適切にチューニングすると、正確性と効率性が大幅に向上します。その結果、誤検知は減少し、セキュリティアナリストは真に重大な脅威へ集中できるようになります。

  • Splunkでは、ルールを更新する際、まずルールを複製し、個別に変更した上で、手動で更新する必要があります。このプロセスはメンテナンスの断片化と煩雑化を招き、ひいては監視の漏れ(死角)や運用の非効率化につながる可能性があります。
  • 一方、Sumo Logicでは、提供コンテンツ(検知ルールなど)の上から直接、チューニング設定を書き加えることが可能です。そのため、コンテンツが自動アップデートされても、ユーザーによるカスタマイズ内容は維持されます。この仕組みによって、メンテナンスは大幅に簡素化され、検知機能は常に最新かつ効果的な状態に保たれます。

 

リアルタイムストリーミング

セキュリティイベントを即時に処理することは、脅威を迅速に検知し、対応するために不可欠です。その結果、急速に進化し続けるサイバー脅威に対する組織の脆弱性を、大幅に低減させることができます。

  • Splunk Enterprise Securityは、定期的に実行されるスケジュール検索に依存しています。この方式では処理に遅延が生じる可能性があり、それがアラートの見逃しにつながることもあります。その結果、組織が危険に晒されるリスクが高まります。
  • 一方、Sumo Logic SIEMは、イベントを発生と同時に分析するリアルタイムのストリーミングエンジンを採用しています。この方式により、遅延のリスクは大幅に低減され、インシデント対応全体の有効性が向上します。

異種シグナル間の相互相関分析

複数のシグナルを正確に相関分析することによって、脅威検知の精度が向上し、誤検知を減らすことができます。これにより、複雑な脅威に対しても、より迅速かつ的確に対応できるようになります。

  • Splunk Enterprise Securityにも相関分析機能はありますが、その主眼は基本的なシグナルレベルの分析に置かれています。そのため、注目すべきイベントやリスクベースのアラートを利用するには、手動での設定作業が必要です。また、種類の異なる複数のシグナルを単一のエンティティに関連付けて分析することは困難で、通常はダッシュボードでの操作や、煩雑な「イベントシーケンシング」といった手順を踏まなければなりません。
  • 一方、Sumo Logicは複数のシグナルを自動的に相関分析し、一貫性のあるインサイトとしてまとめ上げます。これにより、脅威分析は簡素化・迅速化され、インシデント解決の精度とスピードも向上します。

オートメーション・プレイブック・エンリッチメント

対応手順を自動化することで、ヒューマンエラーを最小限に抑え、対応の効率を高めることができます。これにより、セキュリティチームはインシデントの封じ込めと修復を迅速に行えるようになります。

  • Splunkでオートメーションやエンリッチメント機能を利用するには、追加製品であるSplunk Phantomを別途購入する必要があります。その結果、運用の複雑性が増し、コストも高くなります。
  • 一方、Sumo Logicでは、オートメーション、エンリッチメント、そして構造化されたプレイブックといった機能がプラットフォームに直接統合されています。これにより、運用コストと複雑性は大幅に削減され、対応時間も短縮されます。

検索パフォーマンス

効率的な検索パフォーマンスは、脅威の迅速な調査と解決に不可欠です。これにより、重大なインシデントにも速やかに対処できるようになります。

  • Splunkは、環境の設計が不適切であったり、予期せぬ使用量の急増が発生したりした場合に、パフォーマンスが低下することがあります。これにより脅威の調査に遅れが生じ、重要な局面でセキュリティチームが状況を把握できなくなる可能性があります。この主な原因は、Splunkのレガシーなアーキテクチャにあります。このアーキテクチャはクラウドネイティブではなく、要求に応じて動的にリソースを拡張するのに必要な弾力性に欠けています。そのため、多くの組織では、あらかじめリソースを過剰に準備しておかない限り、ピークタイムにパフォーマンスのボトルネックが発生しがちです。しかし、これはコストが高く非効率な回避策に過ぎません。
  • 一方、Sumo Logicは、使用量の需要に応じて検索能力を常に安定して拡張します。そのため、データ量が膨大なインシデントの発生時でも、信頼性の高い迅速な脅威調査が可能です。

リアルタイムのアラートと検索

脅威をタイムリーに検知するためには、迅速な対応を可能にする即時アラートが非常に重要です。この迅速な対応こそが、活動中の脅威による被害を最小限に抑える鍵となります。

  • Splunkは、スケジュールに基づいて実行されるアラートと検索に依存しています。この方式は、新たに出現する脅威への対処に遅れを生じさせ、監視に空白時間を生み出す可能性があります。この制約の原因は、Splunkがクラウドネイティブではないアーキテクチャを採用している点にあります。この設計は、データストリームをリアルタイムで処理する能力を制限します。真のクラウドネイティブプラットフォームのように計算・処理リソースを動的に拡張できないため、Splunkはシステムのパフォーマンスを維持するために、スケジュール検索に頼らざるを得ないのです。その結果、本質的に遅延が生じ、動きの速いセキュリティイベントの最中には状況の把握が難しくなります。これは、一刻を争うような環境においては致命的な欠点となり得ます。
  • 一方、Sumo Logicは、即時かつ継続的なリアルタイムのアラートと検索に対応しています。これにより、対応が遅れる潜在的なリスクを排除し、脅威管理全体のレベルを大幅に向上させることが可能です。

異常および重大ログイベントの特定

ログデータの中から異常を迅速に特定することは、脅威調査の質を大幅に高めます。これにより、セキュリティチームはインシデントの根本原因を素早く突き止めることができるようになります。

  • Splunkには、異常を容易に特定するための機能が標準で備わっていません。そのため、ユーザーは複雑なクエリを手動で作成する必要がありますが、この作業は時間がかかる上に、ミスが発生しやすいという問題点があります。
  • 一方、Sumo Logicは、LogReduceLogCompareといった直感的なツールを提供しています。これらのツールは、重大なイベントや異常を即座に浮かび上がらせることで、調査を簡素化し、迅速化します。

Appカタログ

信頼性が高く検証済みのアプリを利用することで、プラットフォームとの安全かつシームレスな連携が保証されます。これにより、セキュリティと運用効率の両方を高めることができます。

  • SplunkAppカタログ(Splunk Base)は非常に広範ですが、その大半はコミュニティによって開発された、公式サポート対象外のアプリです。こうしたアプリはセキュリティやパフォーマンス上のリスクを伴うため、組織全体のサイバーセキュリティ体制を脆弱にする可能性があります。
  • 一方、Sumo Logicは、公式にサポートされ検証済みのアプリで構成される、堅牢なカタログを維持しています。これにより、安全で信頼性の高い連携オプションが提供され、リスクの最小化、運用の効率化、そしてユーザーが価値を実感するまでの時間(time-to-value)の短縮が実現します。

最終幕:サイバーセキュリティというサーカスで、いかに賢明な命綱を選ぶか

Sumo Logic Cloud SIEMとSplunk Enterprise Securityのどちらかを選ぶ際、その違いは単なる技術的な差に留まりません。むしろその違いは、止まることのない高速なセキュリティというパフォーマンスの中で生き残るための、いわば生存戦略なのです。Cloud SIEMは、標準搭載の検知ルール、効率化されたルールチューニング、リアルタイム検知、自動化された相関分析、そして組み込みの自動化ツールといった点で際立っています。これらは単なる機能ではありません。冒頭で述べたような、ジャグリングや綱渡りのような危険なパフォーマンスが現実の脅威となったとき、それらはあなたを守る「命綱」そのものなのです。

サイバーセキュリティという変化の激しい環境において、長期的な機敏性を目標とするならば、Sumo Logic SIEMこそがスポットライトを浴びるべき主役です。リアルタイムでの拡張、自動化、そして対応能力によって、混沌とした状況の中でも、貴社のセキュリティチームが自信を持って安定した運用を続けられるよう支えます。それに比べ、Splunkは舞台裏からそのペースについていくのに苦労しているのが現状です。


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