一方、AIエージェントはそれとは少し性質が異なります。
AIエージェントは、単に質問に答えるだけでなく、ユーザーの代わりにシステムの中で実際の処理を実行するAIです。
例えば次のような処理を自動で行います。
- SaaSから必要なデータを取得する
- 複数のアプリケーションをまたいで情報を整理する
- 業務ワークフローを自動で実行する
つまり、AIエージェントは「AIアシスタント」というより、企業システムの中で動く自動化ツールに近い存在です。
この仕組みは、Microsoft 365 や Google Workspace などのSaaSとAPIやOAuthで接続することで実現されています。
そのため、多くのAIエージェントは サードパーティアプリ や 非人間アイデンティティ(NHI) としてSaaS環境に登録されます。
こうした仕組みにより、AIエージェントは業務の効率化に大きく貢献します。
しかし同時に、これまでとは異なるセキュリティリスクも生まれています。
AIエージェントがSaaS環境にもたらすセキュリティリスク
AIエージェントは業務効率を大きく高める一方で、SaaS環境に新しいリスクを生み出します。最大の問題は、権限とデータアクセス量の大きさです。AIエージェントはSaaSとAPIで接続されるため、ユーザーと同じようにデータへアクセスできます。
しかし、多くの場合その権限は必要以上に広く設定されています。
さらにAIエージェントは人間とは違い、24時間自動で処理を実行できます。
その結果、次のような状況が生まれます。
- 人間よりも大量のデータにアクセスする
- 複数のSaaSを同時に操作する
- 機械の速度でデータを移動する
もしこのエージェントが侵害された場合、影響は非常に大きくなります。
攻撃者はエージェントを通じて、企業のSaaS環境全体へアクセスできる可能性があるためです。
AIエージェントは人間の16倍のデータを動かす
AIエージェントの特徴は、単に処理が速いことだけではありません。
扱うデータ量そのものが人間とは桁違いです。
実際にある企業では、1つのAIエージェントが 1,600万件以上のファイルをダウンロードしていました。しかし同じ期間において、全ユーザーと全アプリを合わせたダウンロード数は約100万件でした。つまり、単一のAIエージェントが組織全体の10倍以上のデータを動かしていたことになります。
この背景には、AIエージェントの権限設計があります。
多くのSaaSでは、特定のフォルダにアクセスしたい場合でも、デフォルト設定では 「すべてのファイルを読み取る」権限 が付与されることがあります。これは、細かい権限設定を行う必要がなく、すぐにツールを使い始めることができるため、ユーザーにとっては便利です。
しかしセキュリティの観点では大きな問題になります。
AIエージェントはこうした広い権限をそのまま引き継ぐため、本来必要のないデータにもアクセスできてしまうことがあります。
攻撃者にとっては、これは非常に魅力的なターゲットです。
もし1つのエージェントを侵害できれば、
- 社内ファイル
- 顧客データ
- 業務記録
- 複数のSaaSアプリ
といった大量の情報へアクセスできる可能性があるためです。
攻撃者はどのようにAIエージェントを悪用するのか
攻撃者は、AIエージェントが持つ広い権限とSaaS間の連携を悪用します。
例えば次のようなケースが考えられます。
- 認証設定が弱いエージェントに不正アクセスする
- 公開されているURLからエージェントに接続する
- 侵害されたアカウント経由でエージェントを利用する
AIエージェントは複数のSaaSに接続しているため、
1つのエージェントが侵害されるだけで影響が連鎖的に広がる可能性があります。
例えば次のような流れです。
- AIエージェントが侵害される
- SaaSから大量のデータが取得される
- 他のSaaSやシステムにもアクセスされる
このように、AIエージェントは新しい攻撃経路になる可能性があります。
SaaS環境でAIエージェントを安全に運用するには
AIエージェントのリスクを管理するためには、まず 可視化 が重要です。
多くの企業では、自社のSaaS環境にどれだけのAIアプリやエージェントが接続されているのかを正確に把握できていません。
そのため、まず次のような対策が必要になります。
- AIエージェントのインベントリ管理
- アプリの権限確認
- 最小権限の原則の適用
- 強固な認証の導入
- エージェントのアクティビティ監視
さらに、SaaS全体のログを継続的に監視し、どのエージェントがどのデータにアクセスしているのかを追跡できる仕組みが重要になります。
Obsidian Securityが提供するAIエージェント対策
こうした課題に対応するためのソリューションの1つが Obsidian Security です。
ObsidianはSaaS環境に特化したセキュリティプラットフォームで、
AIエージェントやサードパーティアプリのリスク管理を支援します。
主な機能は次の3つです。
1. AIアプリの可視化
Obsidianは、Microsoft 365やGoogle Workspaceなどに接続されているアプリを一覧化します。
単にアプリ名を表示するだけではなく、
- AI機能を利用しているか
- 個人情報を扱う可能性があるか
- 社内のどのユーザーが利用しているか
といった情報も含めて可視化します。
これにより、どのAIツールがどのデータにアクセスしているのかを把握できます。

2. 過剰権限の検出とアクセス遮断
AIエージェントが要求する権限を分析し、リスクの高いアプリを検出することも可能です。
もし企業が承認していないアプリが見つかった場合、管理画面から ワンクリックで連携を取り消す(Revoke) ことができます。
これにより、SaaSデータへのアクセスを即座に遮断できます。
3. Shadow AI対策
ObsidianはAPIだけでなく、ブラウザ拡張機能による監視も提供しています。
これにより、従業員が個人的に利用している生成AIツール、いわゆる Shadow AI の利用状況を把握できます。
必要に応じて、未承認AIへのアクセスを制御することも可能です。

まとめ:AIガバナンスの新しい課題
多くの企業で、AI利用に関するルールやガイドライン、いわゆる AIガバナンス の整備が進んでいます。
しかし、その多くは
- 生成AIの利用
- データ入力ルール
といったテーマに焦点が当てられています。
一方で、SaaSの裏側で動くAIエージェントの管理は見落とされがちです。
AIエージェントは便利なツールですが、同時に企業データへ広範なアクセス権を持つ存在でもあります。
AIを安全に活用するためには、こうしたエージェントを含めた SaaS環境全体の可視化と管理 が不可欠です。
Obsidian Securityのようなソリューションを活用することで、AIの利便性を維持しながら、企業データを守るセキュリティ体制を構築することができます。
Obsidian Securityがどのように貴社のSaaS環境を可視化するのか、デモや詳細資料で確認してみませんか?
