こんにちは。技術本部のM・Yです。
今回はSumo Logic社が公開している、Joe Kim氏が2024年6月に執筆した生成AI市場に関する記事を日本語化しました。
なお、記事中の「私」は筆者であるJoe Kim氏を指します。
原文はこちらをご参照ください。
はじめに
ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に普及し、大きな話題になったことから、2024年は「AI元年」になると予測されていました。しかし、2024年に入ってAIに関する話題は確かに多いものの、実際にビジネスの現場で本格的に活用されている事例はまだ少ないのが現状です。
テクノロジー企業にとって、展示会などのイベントは新しいイノベーションを市場に発表したり、その実力を披露したりする絶好の機会です。5月に開催されたRSA Conferenceでは、ショールームのあちこちで「AIウォッシング」(AIを謳うだけの誇大広告)が横行しているのが目に付きました。しかし、そうした中でも、Sumo Logic社が新機能「Sumo Logic Copilot」のライブデモを披露できた数少ない企業の一つであったことは、大きな喜びです。
そこで私は、「生成AIはこれほど話題になっているのに、なぜ実際に機能するデモがほとんど見られないのだろう?」と疑問に思いました。その後、セキュリティ、運用、エンジニアリング分野の専門家たちと話をする中で、この疑問に対する答えを少しずつ見つけることができました。
これはあくまで一部の例に過ぎませんが、同業者たちとの会話からいくつかの共通点や類似点が浮かび上がってきました。
AIは解決すべき本質的な問題に取り組むべきだ
多くのテクノロジーベンダーは、生成AIを活用してどのような価値ある機能を開発できるのか、まだ手探りの状態にあります。市場から(そして場合によっては企業の取締役会から)の強いプレッシャーに押され、中には解決すべき問題を見つける前に、とにかく何かを製品として世に出さざるを得ないベンダーも存在します。
もし、インサイト(洞察)を生み出すシステムによって最大の価値が創造されるのであれば、それはまさに目的のために存在する、適切なソリューションだと言えます。Sumo Logic社としては、Sumo Logic Copilotをそのように位置づけています。オブザーバビリティ(可観測性)やセキュリティの分野には、単なる見せかけの「AIボタン」を超え、顧客を本当に支援できる「インサイト(洞察)を生み出すシステム」が数多く存在するとSumo Logic社は確信しています。
パフォーマンスの課題がAIの技術革新を鈍化させる可能性がある
生成AIツールに詳しい企業であっても、既存のプラットフォームにこの技術を導入する際、許容できないほどのパフォーマンスの低下に直面することがあります。もちろん、新たな処理の往復(ラウンドトリップ)が加わることを考慮に入れる必要はありますが、これらのパフォーマンスの問題は、単に新しい技術レイヤーを追加したことだけが原因ではないのです。
他のベンダーもCopilotのような機能をデモしていましたが、質問から回答までに数分かかるものも見受けられました。このことからSumo Logic社が学んだ教訓は、ビッグデータを処理できる高性能でスケーラブルな環境がなければ、次世代のAI機能を構築する際の基盤は脆弱なものになるということです。幸いなことに、Sumo Logicプラットフォームは、1社で1日に数百テラバイト(日々のデータ分析量は合計で3.5エクサバイトに達します)ものデータを問題なく処理できます。
AIの価格モデルはまだ確立されていない
先日、CEOやCTO、CPOといった企業のトップが集まるカンファレンスに参加したのですが、そこで最も頻繁に話題に上ったのが、生成AIの機能をどのように収益化するかという戦略でした。
新しい機能を実装するにはコストがかかるため、その費用を回収する必要があります。そのため、ほとんどの経営陣が検討していたのは、主に二つのアプローチでした。一つは、新機能を組み込んだ「スーパー」エンタープライズ版やSKUとして提供すること。もう一つは、生成AI機能を核とした全く新しい製品を開発することです。もちろん、どちらのアプローチにもそれぞれ利点と欠点があります。
私の考えは少し違います。Sumo Logicでは、消費ベースの価格モデルを導入することで、コスト回収の心配から解放され、それぞれの機能が顧客全員にとって最大の価値を生み出すことに注力できることを、Sumo Logic社は身をもって経験しました。今年の初めにデータ取り込みを$0にしたのは、そのためでもあります。顧客は全てのデータを送ることができ、そのデータを使って得られる価値(スキャン、検索、ダッシュボード、アラート、分析など)に対してのみ料金を支払う仕組みになっています。
これは、Sumo Logicの生成AI機能についても同様です。製品開発チームやエンジニアリングチームは、本当に価値をもたらす機能について顧客と協力し、顧客は実際にその価値を認め、利用した場合にのみ料金を支払うことになります。これにより、AI機能を特定の顧客層(「スーパーエンタープライズやSKU」など)だけに限定したり、製品市場フィットの問題を抱える可能性のある、完全なエンドツーエンドのAI製品が完成するまで待ったりすることなく、顧客にいち早く価値を届けられるのです。
2024年は、本当に「AIの年」だったのか?
2024年も半ばを迎え、他の企業がこうした課題にどう取り組んでいるのか、その進捗が気になるところです。今年の後半に開催されるイベントは、AIブームに乗って成功したいと考える企業にとって、その実力を示す決定的な場となるでしょう。私自身、より多くのライブデモを見て、AIのイノベーションからいかにして真のビジネス価値を生み出すかについて、同業者たちと議論を深められることを楽しみにしています。
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