クラウドの無駄なコスト出費を減らすには?コスト最適化のベストプラクティス-効果的な手法と戦略について

 2025.01.09  一條 慈栄

はじめに
クラウド環境は、開発環境として始まり、その後、本番環境へと移行することが一般的です。
しかし、コストについて考慮されるのは、ワークロードがスケールアウトして予想外に高額な料金が発生してから、というケースが少なくありません。「電源をオフにする」作業は多くのエンジニアにとって負担が大きく、停止や業務中断の責任を負うことを避けたいのが本音でしょう。

そこで重要になるのが、クラウドコストの最適化です。未使用の環境を停止させたり、ベンダーとの契約条件を見直すことで、クラウド請求額を削減できます。
また、リソースの適切なサイズ調整をすることも、コスト削減手法として有効です。

この記事では、組織全体でクラウドコストを最適化するための主要な4つの方法を解説します。本稿では、特に Infrastructure as a Service (IaaS) に焦点を当て、効果的な戦略を具体的にご紹介します。

戦略
1. 実稼働環境のメトリクスを把握する
クラウドコストの最適化は、ワークロードの詳細を把握することから始まります。
メトリクスは車のダッシュボードのように機能し、現在の使用状況を視覚化して最適化の指針となります。

-トラフィックとインフラ使用状況をマッピングする。
ユーザートラフィックをインフラ使用状況に関連付け、スケールアップやスケールダウンのタイミングを計画します。外部向けアプリケーションでは、
Google Analyticsなどのツールを活用し、ユーザー行動データを収集。社内アプリでは、部門データを参照して使用パターンを把握します。

-自動スケーリングを活用する。
必要最小限のサービスを維持しつつ、需要に応じてスケールアップできる自動化プロセスを導入します。この弾力的なスケーリングは、常時オンの環境を必要最小限にすることでコスト削減を実現します。

2. オンデマンドの開発・テスト環境を構築する
非本番環境を効率的に管理することも重要です。
開発者が環境を必要に応じて簡単にプロビジョニングできるツールを整備し、業務時間外や休暇中に環境をシャットダウンする仕組みを導入しましょう。
リリース頻度を分析し、必要なときだけ環境を起動する柔軟な運用が理想的です。

3. 一時的な環境の活用
コスト削減の鍵として、スポットインスタンスやプリエンプティブインスタンスの活用があります。これらは通常価格の90%近く割引されることもあり、適切に設計すれば大幅なコスト削減が可能です。モノリシックアプリケーションをマイクロサービス化することで、こうしたインスタンスを活用しやすくなります。

4. ベンダーとの購入契約を最適化する
クラウドベンダーが提供する割引契約を活用することも有効です。
AzureやAWSの予約インスタンス、Google Cloudのコミットメント型割引などを活用することで、長期契約を通じたコスト削減が期待できます。

最後に
クラウド環境のコスト効率化を実現するためにクラウドコスト最適化のポイントは、リソースの使用状況を正確に把握し、管理することです。

弊社が提供しているCSPM運用サービスのエンジンとして利用しているCoreStackは、
クラウドのポスチャ管理だけでなく、コスト可視化、コスト最適化など、FinOps機能を有しています。

最初から最適化を意識した設計を行うことで、組織のクラウド活用がコスト効率に優れたものとなります。ぜひこれらのベストプラクティスを参考に、長期的なコスト削減を目指してください。


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